1月のニュースレターでは、結石の治療における3つの重要な問題を取り上げます。軟性尿管鏡下砕石術を実施する上で困難な下腎杯角と、それが手術の効率にどのような影響を及ぼすのかについてお話しします。
2つ目のテーマでは、再発予防に関連し、患者の服薬遵守に注目します。服薬指示に従わないことが、患者にとっていかに良くないことであるか理解いただけるでしょう。最後に、ALARA(as low as reasonably achievable:被曝線量の最小化)の概念や放射線曝露がますます大きな話題となっていることから、経皮的腎砕石術(PCNL)のアクセスにおいて、超音波を使用するかX線透視を使用するかの違いを見ていきたいと思います。
①腎結石治療のための逆行性軟性尿管鏡下レーザー砕石術の成功に及ぼす下腎杯腎盂角の影響
Dresner SL et al. J Endourol, 2020.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31968995/
下腎杯は、軟性尿管鏡下砕石術において最も悩ましい状況の 1 つであることが知られています。下腎杯は到達が難しいだけでなく、粉砕(dusting)や断片化(fragmentation)後の破石片が排出され難くなります。この論文で著者らは、腎盂尿管軸と下腎杯中心軸のなす下腎杯腎盂角(infundibulopelvic angle: IPA)を測定した 243 腎を分析しています。腎結石の粉砕後、コンピュータ断層撮影(CT)または腎尿管膀胱撮影(KUB)を行って、術後 2 ヵ月目の完全排石率及び非再発率を評価しました。平均結石サイズは 8 mm(2~28 mm)であり、完全排石率は 52.3%、38.3%に下腎杯の残石が認められました。
IPA は平均 78°であり、患者の 74.5%で IPA が 90°未満でした。高い残石率に関連する因子は、予想どおり、下腎杯結石と大きな結石サイズでした。角度に関しては、IPA が 90°未満の場合も残石率が高くなっていました。多変量解析では、IPA が 90°未満であることと結石量の多いことが、再手術と有意に関連していることが示されました。
この論文は、下腎杯結石がいかに悩ましいものであるか、また、完全排石率を高めて内視鏡の損傷を軽減するためには結石を下腎杯から上腎杯へ移動させるといった工夫が重要であることを示唆しています。1.5 cm を超える下腎杯結石(特に硬い結石)はミニ経皮的腎砕石術(mini-PCNL)で直接治療すべきであるとする意見も多くみられます。明らかなのは、2 cm を超える結石の軟性尿管鏡下砕石術は、残石の可能性が高く、おそらく補助的処置が必要になる可能性が高いということです。
本論文によると、患者のカウンセリングや完全排石を達成するために最善のアプローチを選択するに際しては、IPA も考慮する必要があると言えるでしょう。
②腎結石患者における服薬遵守が主要な尿代謝異常に及ぼす影響
Manzo BO, et al. Asian J Urol, 2021.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34401334/
結石の診療を行う泌尿器科医なら誰でも、患者にカウンセリングを行い、再発予防のための薬物療法の重要性を理解させることがいかに難しいかを認識しています。結石は慢性疾患であり、たとえ症状がなくても(今のところは...)薬物療法が有効であることを患者に理解してもらいたいと考えています。この論文では、結石患者における処方から 6 ヵ月後の服薬遵守について評価しています。治療前および治療から 6 ヵ月後に、24 時間尿検査と尿 pH測定によって全患者が評価されました。患者はカウンセリングを受け、必要に応じて食事指導と薬物療法を受けました。良好な服薬遵守の定義は、フォローアップ期間中に服薬機会の80%で服薬していることとされています(では、皆さんの患者さんでこの値に達しているのはどれぐらいでしょうか?)。
評価された患者は 90 例で、そのうち 40%は単剤(主にクエン酸カリウム)を投与され、45.5%はクエン酸カリウム、アロプリノールまたはサイアザイドなど複数の薬剤を処方されていました。6 ヵ月後の服薬遵守率は 73.3%と驚くほど高いものでした(単剤投与患者では61.2%、多剤併用患者では 85.4%)。しかし、患者がいかに良好に服薬遵守していたかが分かっただけでなく、薬剤を服用しなかった患者では尿中クエン酸量の低下が見られた(すなわち、再発リスクが増加した)ことにも注目すべきです。この論文は、結石の再発を避けるためには、代謝評価を正確に受け薬剤を服用するように、時間を掛けて患者に指導することがいかに重要であるかを示唆しています。
③経皮的腎砕石術アクセスのための超音波と X 線透視に本当に違いはあるか?論文レビュー
Corrales M, et al. J Endourol, 2021
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32762266/
放射線曝露は私たちの職業において大きな問題で、皮疹や重度の湿疹、白内障、癌など、長期的な影響が見られます。自らの手技を評価することは、自分自身のリスクを評価するために非常に重要です。
PCNL は泌尿器内視鏡手術で最も困難なものの 1 つで、X 線透視ガイド下アクセス(FG)は極めて正確ですが、とりわけ PCNL の修練中の外科医にとっては、過度に放射線曝露を受ける可能性があります。しかし、超音波(US)を用いて穿刺を行った場合、この曝露量が本当に減少するのか、または何らかの点で優れているのか、と著者らは疑問を呈しています。ランダム化比較試験(RCT)6 件とメタ解析 3 件を含む、FG と US を比較した 12 件の研究を評価する文献レビューが行われました。予想どおり、FG の方が放射線被曝量は多くなっていました(ある論文(Urol Int. 2015;95(1):15-25.)では、透視時間が 2.6 分間長かったとされています)。不思議なことに、アクセスの質、手術時間、出血、腎盂穿孔、発熱、入院、穿刺成功率、完全排石率に差は見られませんでした。さらには、US を使用することでトラクト上に結腸が存在することを 100%否定できるわけではないため、結腸穿孔にさえも差は認められませんでした。
外科医の手技が高まるにつれて、US および FG を安全かつ効率的に実施できると言えるかもしれません。ALARA の観点からは、US は常に FG を補完するものであり、泌尿器内視鏡外科医は両方の技術を知っておくべきであるという著者らの意見に私も同意します。
腎結石治療のための逆行性軟性尿管鏡検査及びレーザー砕石術の成功に及ぼす腎下極の下腎杯の軸と腎盂の軸の角度の影響
Dresner SL et al. J Endourol, 2020.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31968995/
腎下極は、軟性尿管鏡検査において最も厄介な(そして煩わしい)状況の1つであることが分かっています。腎下極は届きにくいというだけでなく、粉砕や断片化の後に破片が排出される可能性が低くなることがあります。この論文で著者らは、腎盂尿管軸と腎下極漏斗部の中心軸との交点で下腎杯の軸と腎盂の軸の角度(IPA)を測定した243の腎臓を分析しています。腎結石の粉砕後、コンピュータ断層撮影(CT)又は腎尿管膀胱撮影(KUB)を行って、術後2ヵ月目の無結石率及び無再発生存率を評価しました。平均結石サイズが8 mm(2~28 mm)の場合、無結石率は52.3%であり、38.3%で腎下極に結石が残存していました。
平均IPAは78°であり、患者の74.5%でIPAが90°未満でした。私たちが推測したように、残存結石の高い発生率に関連した変数は、腎下極に位置する結石と大きな結石サイズでした。角度に関しては、IPAが90°未満の場合も残留率が高くなりました。多変量解析では、IPAが90°未満であることと結石量が多いことが、再手術と有意に関連していることが示されました。
この論文は、下極がいかに厄介なものになり得るか、また、無結石率を高めて内視鏡による損傷を軽減するために結石を腎下極から腎上極へ移動させる際、この状況を回避するために、どれほど多くの秘訣があるかに気づかせてくれます。論文著者には、1.5 cmを超える腎下極結石(特に硬い結石)はミニ経皮的腎砕石術(mini-PCNL)で直接治療すべきであるとする者も多くいます。明らかなのは、2 cmを超える結石の軟性尿管鏡検査は、おそらく補助的処置が必要な残存の可能性が高いことです。
本論文に基づけば、患者にカウンセリングを行って、結石のない状態を確保するための最善の方法を選択するには、IPAも考慮する必要があります。
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